気胸の手術ってどんなもの わかりやすく絵を使って説明

患者さん向け
Dr.あらた
Dr.あらた

地方大学病院で働いているあらたです。
手術経験数は100例以上。
全国でもTOP10に気胸の手術が多い病院での経験を生かして解説していきます。

気胸の手術の基本的なことを説明していきます。
手術ではCTで確認した肺の破れた部位を取ってきます
多くの場合はブラ(嚢胞)といってやぶれやすくなった風船のようなものがあり、そこを周囲の正常な肺と合わせてとってきます。

使う道具は、自動縫合器というもので細かいホチキスのような機械ですこれで肺の悪くなったところを切り取ってホチキスとめしてきます

最後に再発予防の肺の膜を補強したり、肋骨とくっつけてしぼまなくするシートなどを使用することもあります。

胸腔鏡というカメラで見ながらやる手術が一般的です。(合併症やリスク、原因に応じて変わってきます。安全を優先して数センチの開教を追加することもあります。)
寝たあとに横を向いて手術をします。
胸の横に2〜3カ所、1〜2cm程度の傷でやります。

手術は1〜2時間程度です。
前後に麻酔をかけたり覚ましたりする時間が30〜60分ありますので、最大で4時間程度かかることもあります。
9時に手術室に入って、昼過ぎ12時ごろには戻ってくるイメージです。
傷を閉じるときに最後にドレーンというチューブを入れておきます
閉じたあと、胸の中が見れないので出血や空気漏れなどの合併症が起きてないことがいつでもわかるためにです。

若い方の気胸であれば、術後2〜4日程度で退院となります。

はじめて全身麻酔の手術を受ける方がほとんどなのではないでしょうか。
基本的には全国的に一般的に行われている危険度の低い手術の一つではありますので過度には心配しないでくださいね。

とはいえ、ごく一定の確率で合併症が起きる可能性があることも知っておく必要があります。
あくまで起きる可能性のあるものを羅列する形となります。

  1. 出血
  2. 感染症
  3. 空気もれ
  4. 薬の副作用、アレルギー
  5. 血栓症
  6. 痛み
  7. 神経損傷

それぞれ順番に解説していきます。


1.出血

初めにメスで切って胸の中に入る時や肺の表面の血管から出血することもあります。
心臓からは遠い場所の肺をきることが多いので大きな血管はなく大出血になることは少ないですが、癒着と言って昔の炎症の影響などで肺と肋骨の裏側がくっついているとカサブタをはがすような処置が必要なのでじわじわと出血することもあります。
必要があれば輸血する可能性もゼロではありませんが、使うことは非常にまれです。
電気メスで止血しながら行うので実際には採血数回分程度の出血で済むことが多いです。

2.感染症

無菌の操作で慎重に行っていきますがまれに傷のところが感染することがあります。アトピーなど細かい傷がある方が起こすこともありますが、糖尿病などのリスクがない限り重篤になることはまれです。
細菌が傷から胸の中に入ってしまった場合は膿胸と言って感染が長引くこともあります。
また、痰詰まりなどで肺が潰れてしまったり、そこで肺炎がおこったりする可能性もあります。

3.空気もれ

肺の空気もれの手術のはずなのに、空気もれの合併症なんておかしいと思われるかもしれません。実際に穴が空いていると思われる部位を手術中に確認して切除してくるのですが、うまく原因が見つけられなかったり、肺を切り取った時のホチキスの針穴から空気もれが続くこともあります。ほとんどの場合は経過を見ることで止まってきますが、ごくまれに再手術や癒着剤などの追加の処置が必要なこともあります。

4.薬の副作用、アレルギー

全身麻酔で手術を受けることが初めての方も多いと思います。鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬など普段では使うことのない薬剤も多いです。初めての薬を使うということはアレルギー症状や副作用が起きる可能性があります。また多くの種類の薬剤を使うので肝臓や腎臓に負担がかかり一時的に酵素が上昇することもあります。ほとんどの場合適切な対処や経過観察で回復していきます。

5.血栓症

エコノミークラス症候群は聞いたことがありますか?
震災の車中泊などずっと座りっぱなしの姿勢をとっていた場合にふくらはぎに血栓ができて、立ち上がった時にその血栓が肺の血管などにとんで詰まってしまう合併症です。手術の時はもちろん全身麻酔で寝てしまっています。さらには手術の当日はベットの上で寝ていてもらうことが多いのでその間にふくらはぎに血栓ができてしまうことがあるのです。気胸の手術は比較的短く次の日からあるいてもらいますのでリスクは限りなく低いですが、施設によっては男性ストッキングを巻いたり、フットポンプを用いて対策していきます。

6.痛み

手術で切るのでやはり痛いです。しかし痛みは個人差が大きく全く痛くないという人もいれば、痛くて動けないという方もいます。主治医の先生と相談しながら頓服でロキソニンなどの痛みどめを飲んで対応することが多いです。
また切ったところではない部位が痛むのでとても心配になる方もいます。
よくある部位は三箇所あります

  • 手術した側の肩
  • 胸の真ん中
  • 胸の上の方 鎖骨のあたり

まず肩の痛みですがこれは手術の体勢による筋肉痛によることが多いです。いわゆる首の寝違いみたいなものなにので数日で自然になおります。

つぎに胸の真ん中の痛みですが、これはじーんとした痛みだったり、感覚がなくなって板が一枚あるように感じる方もいます。これは肋骨の神経の圧迫や損傷によるもので肋骨が背骨から胸の真ん中にむかって走っているために、胸の真ん中に症状がおきます。自然に改善してくる方もいますが、場合によっては月単位で長引くようなこともあります。

次に胸の上の方の痛みですが、ドレーンがはいっている場合は胸の中で肋骨の裏側にあたっている痛みの可能性があります。ドレーンがぬければ自然に改善します。

7.神経損傷

主に開胸のときの話で、胸腔鏡の手術の際はほとんど関係ないことが多いです。
開胸んの手術の場合に皮下の神経の損傷があり、腕の周囲や肩がしびれたり動かしにくくなる症状がでることがありますが、日常生活ではほとんど問題になることは少ないです。

Dr.あらた
Dr.あらた

いかがでしたか。気胸の手術の内容、合併症について説明しました。最後は怖い話もたくさんしましたが、あくまで可能性の話です。
例えば車を運転するとき、ごくまれにエンジントラブルや操作ミスで死亡するような事故を起こす可能性がありあます。しかし、だから車は絶対に使わないということになるでしょうか。メリットがデメリットを上回っていれば使うでしょう。
手術も同じです。上にあげたような合併症を一つも起こさないように安全運転で、ひとつひとつ丁寧に行っていくのです。

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