地方大学病院で働いているあらたです。
手術経験数は100例以上。
全国でもTOP10に気胸の手術が多い病院での経験を生かして解説していきます。
急に気胸と言われてイメージがわきますか?
2002年にジャニーズグループ嵐の相葉さんが発症してご存知の方もいるかもしれませんね。
2007年には佐藤健さんも発症しておりイケメン病なんて呼ぶ人もいるみたいですね(先日初めて知りました)
シンプルにいうと、胸に、(空)気がたまってしまっている病気です。
その空気が邪魔をして息が吸いづらくなったり、圧迫で痛みを感じます。
その空気はどこからきたのでしょう。
肺に穴があいて、そこからもれたのです。人によってはその時にズキっと痛かったり、ぷしゅーと音が出る人もいるようです。15歳~25歳の場合、大体は肺にブラ(嚢胞)というやぶれやすい部位があってそこがやぶれて空気がもれます。
肺は肋骨の箱の中にはいってます。(胸郭といいます。)
その中には肺のはいってるスペース(胸腔)があります。
普段胸腔は真空パックのように陰圧になっていて、空気はないはずです。
そこに空気が溜まってしまうのです。
この箱は肋骨で囲まれてるので凹みませんが空気がもれることで肺はしぼみます。
治療としては、
1.経過観察(安静)
2.脱気
3.ドレナージ
4.手術
5.癒着術
があります。
1.経過観察(安静)
穴はどうやって塞がるのかというと、自然にかさぶたのようになってとじていくのです。自然に止まるのを待つのが1.の経過観察(安静)です。
しかしあまり空気漏れが多い場合や、続いている場合はどんどん肺がしぼんでしまい、苦しくなったり、場合によっては心臓を圧迫して意識を失うようなこともあるので、空気を抜こうということになるのです。
レントゲンの初見や症状で重症度を判定します。
2.3は肋骨で囲まれた箱(胸郭)の肋骨の間から空気を抜く治療です。
直接肺の穴を塞ぎにいく治療ではなく対処療法になります。
2.脱気
2は基本的には外来で1回針を刺して空気を抜きます。それで症状は楽になりますが、空気漏れが止まっていなければまた肺がしぼんでしまいます。
3.ドレナージ
3はドレーンという管を胸にいれて持続的に空気を出します。基本的には入院です。大学受験があるなどの事情に応じて持ち運びできるものにする時もありますが感染や閉塞、抜けてしまうリスクもあるので基本は行いません。
数日かけて空気漏れが止まって、肺がしぼまないことを確認して退院になります。
4.手術
それでは4の手術はどんなときにやるのでしょう。
それは、再発のとき、空気漏れが止まらない時、両側のときです。
実は気胸は再発することのある病気です。
1回目になったときに2回目になる確率は五分五分くらいです。
この程度であれば、手術せずにすむのではないかと考えますよね。
しかし2回目になった人は8割の人が再発してしまうといわれてます。
その場合は手術を選択することが多いです。
手術すれば完治して二度と気胸にならないのでしょうか?
実は手術をしても1〜2割程度の方は再発があるといわれているところには注意が必要です。
とはいえ、気胸は試験前、試合前などの大事な時の前のストレスがかかって体が無理をしている時におきやすいともいわれています。
大事な試験、面接の前に再発して1週間入院なんてことになったら大変ですよね。
そういった点も踏まえて手術をおすすめすることが多いです。
次に、空気漏れが止まらないときは、手術になることが多いです。
また両側のときも、一時的によくなることはありますが、ほっておくと急に悪くなって重篤になる可能性が高いので手術をおすすめすることが多いです。
5.癒着術
5の癒着術は手術のリスクが高い場合などに癒着剤を胸の中にいれて胸郭と肺をくっつけて肺をしぼまなくする方法です。
治療については上にあげたような選択肢があります。
ちなみに嵐の相葉さんは、2002年に右気胸で5日入院し、2011年には左の気胸でも入院されているそうです。
実際に外来に着く前によく医者にきかれることについて整理しておくといいでしょう。今後の治療方針の決定にも大切になってきます。
他に病気があるか、などの一般的な問診はもちろんですが、
いつからどんな症状だったのかが特に大事です。主に咳、痛み、呼吸苦が起きることが多いです。最初に症状があったときと比べて今、かるくなったか、強くなったか、同じくらいかというのも入院かどうか決めるのに役立つときがあります。
気胸になってしまって、入院なんていわれたらショックもあるかもしれません。
痩せ型の15〜25才に多い気胸です。
あくまで印象ですが、真面目でがんばりすぎな方に多い気がします。
神様がすこしやすみなさいよといっているのかもしれません。
いかがでしたでしょうか。気胸といわれて大きな病院に紹介されたとき、まず読む内容として記事を書きました。
少しでも役にたてば嬉しいです。他の気胸の記事も参考にされてくださいね。
ブログランキング参加してます。
クリックいただけますと励みになります。↓
にほんブログ村
Twitterもやっています。フォローいただけましたら嬉しいです。↓
Dr.あらた (@Dr_Arata_)
(あくまで初めに患者さんに説明する内容を主にしてますので具体的な数字や出典の論文などは省いています。現役の先生方には物足りない内容かもしれません。また個別の医療相談につきましては診察を行っていませんので具体的な指導は避けます。要望の多い内容は記事にさせていただきます。
コメント